くるくる、くるくる、軽やかに回る人の輪。音楽に合わせて、右へ、左へ。なんとイマドキの体育祭にフォークダンスがあるって聞いてから、もしかしたら、とか少しだけ
期待もしたけれど。
同じクラスの男の子と取り合っていた手が、離れる。人の輪が回って、きらきら光る金髪が見えて。けれどもやっぱり、そうそう上手くはいかなくて。
音楽は終わった。
「ああーー!!」
「うっせーな何だよいきなり!!」
「いてっ、いてーっス!! てか何で笠松センパイいるんスか!?」
「たまたまここに回ってきただけだよ悪いか! つーか騒ぐなバカ!」
「センパイのが騒いで、っていてっ、スンマセン、っス! けどだってあとちょっとで……っもー!」
俄かに騒がしくなった一角に、周りの生徒の注目と笑い声が集まる。先生がホイッスル片手に注意に入って、また楽しげにばらけていく。
ざわめきの中で、黄瀬くんと目が合った。彼は困ったみたいに笑って、右手を指さし、「また今度」。
私も笑って、頷いた。
体育祭でのフォークダンス
Title / 魔女のおはなし
「あるようでないベタな展開」から拝借